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天狐あやかし秘譚
第51章 堅忍不撓(けんにんふとう)

☆☆☆
ホテルに戻るという島本を駅まで送っていった。軽く手を振ると、彼もまた手を振りながら改札に消えていった。
じんわりと、別れの余韻に浸っていると、
「呪力不正行使の現行犯なのです」
後ろから声が聞こえた。
青みがかった布に金糸の不思議な模様の刺繍が施してある服。見ようによっては紫にも見える不思議な色合いのロングヘアに紫色のアイシャドーという出で立ちの女性・・・。
「土門・・・様・・・。見てたんですね・・・?
その千里眼・・・なんとかなりませんか?
ちょっと、怖いんですけど。
そして、今回だけは、見逃してくれるとありがたいですね」
ニヤッと土門杏里は意地悪げに笑う。
「では、賄賂をくださいな」
ひょいと手のひらを差し出す。
「お金、そんなにないですよ?」
「大丈夫・・・そんなに、私、飲みませんですから」
クイッと駅の傍にあるバーを親指で指してみせた。
土門杏里、陰陽寮、占部衆筆頭にして、何でも知っている情報屋。
千里眼の異名を持つこの女性は、今日の私の行為を全て見ていた・・・のだろう。
本来、今日のように、一般人に特別な許可もなく呪力を行使することは規程で禁止されている。実践するためには、丞クラス以上の術者が申請をする必要があった。それを私はもともと土門にお願いしていたのだ。
だけど、今日、許可されたのは彼に施した呪い除去の手続きまで。
記憶の消去は、本来範囲外だ。
それを黙っていてやる代わりに一杯奢れと。
その千里眼で全部見ていて、私の心の中も見通していて・・・
その上で、ということか・・・。
土門なりに気を使っているのだろう。
相変わらず私の意見を聞かない人。それはわかっていた。
しょうがない・・・土門が指したバーに一緒に入ることにする。
ホテルに戻るという島本を駅まで送っていった。軽く手を振ると、彼もまた手を振りながら改札に消えていった。
じんわりと、別れの余韻に浸っていると、
「呪力不正行使の現行犯なのです」
後ろから声が聞こえた。
青みがかった布に金糸の不思議な模様の刺繍が施してある服。見ようによっては紫にも見える不思議な色合いのロングヘアに紫色のアイシャドーという出で立ちの女性・・・。
「土門・・・様・・・。見てたんですね・・・?
その千里眼・・・なんとかなりませんか?
ちょっと、怖いんですけど。
そして、今回だけは、見逃してくれるとありがたいですね」
ニヤッと土門杏里は意地悪げに笑う。
「では、賄賂をくださいな」
ひょいと手のひらを差し出す。
「お金、そんなにないですよ?」
「大丈夫・・・そんなに、私、飲みませんですから」
クイッと駅の傍にあるバーを親指で指してみせた。
土門杏里、陰陽寮、占部衆筆頭にして、何でも知っている情報屋。
千里眼の異名を持つこの女性は、今日の私の行為を全て見ていた・・・のだろう。
本来、今日のように、一般人に特別な許可もなく呪力を行使することは規程で禁止されている。実践するためには、丞クラス以上の術者が申請をする必要があった。それを私はもともと土門にお願いしていたのだ。
だけど、今日、許可されたのは彼に施した呪い除去の手続きまで。
記憶の消去は、本来範囲外だ。
それを黙っていてやる代わりに一杯奢れと。
その千里眼で全部見ていて、私の心の中も見通していて・・・
その上で、ということか・・・。
土門なりに気を使っているのだろう。
相変わらず私の意見を聞かない人。それはわかっていた。
しょうがない・・・土門が指したバーに一緒に入ることにする。

