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天狐あやかし秘譚
第53章 奇想天外(きそうてんがい)
占いの結果はあっという間にスマホに送られてきた。私がしたことといえば、送られてきた位置情報を頼りに、指定された場所を探しただけだった。ちなみにお財布は最初に清美さんが行った銀行脇の植え込みに落ちていた。

こんなサプライズがありながら、手巻き寿司パーティーは和やかに進み、楽しい時間が過ぎていった。

「寝ちゃいましたね・・・」
食べ終わって、清香ちゃんとみゆきちゃんが頬を寄せ合うようにくっつきあってリビングのソファで眠ってしまった。そして、芝三郎もその足元でぬいぐるみになっていた。
みんなお腹がいっぱいになって、コロコロしている内に眠くなってしまったようだ。

「本当に、ありがとうございます。なんとお礼を言ってよいのか・・・」
リビングのテーブルで、私と清美さん、ダリは食後のあったかいお茶を飲んでいた。清美さんがふとソファを振り返る。
「みゆきがあんなふうに笑ってくれるのは久しぶりなんです」
その目は母親らしい慈愛をたたえていた。
「なんで・・・こんなに良くしてくれるんです・・・?あ、えっと・・・嫌だったとかではなく、本当に本当に、ただそう思っただけで・・・。昨日、出会ったばかりの私達に、どうしてここまでって・・・そう思って・・・」
清美さんは俯いた。私はちらっとダリの顔を見る。ダリは相変わらず涼しい顔だが、私が見たのに気づくとふっと笑みをこぼした。

やっぱり、分かってるみたい。

「なんだか、自分を重ねちゃって・・・」
そう、ほんの半年前まで、私は清美さんとほぼ同じ状況だった。仕事もない、貯金もない、住む家すらない。食べるものも節約していたし、夏だったせいもあり、風呂などは水シャワーで済ませていた。先行きがわからないで、ひとりで不安で不安で・・・。

「そんなことが・・・」

清美さんも不幸だが、私の不幸も大概である。でも、私はダリに出会えた。そして、清香ちゃんや芝三郎に会って、陰陽寮の人に助けてもらって、今もたくさん支えてもらっている。ひとりじゃないと思えたからめげずに頑張れたんだ。
「だから、清美さんのこと、他人事と思えないんです」
きゅっと湯呑みを両手で包むようにして持つ。ほんわりとしたあったかさが手に伝わってきた。
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