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天狐あやかし秘譚
第1章 【第1話 天狐】禍福糾纆(かふくきゅうぼく)

☆☆☆
三方を障子に囲まれ、障子のない壁には左手に床の間と平書院、右手には違い棚があった。床の間には真っ赤な山茶花が活けてあった。
古民家、とはいったものの、障子も畳も綺麗であり、三方から差し込む日の光で明るさも十分だ。
「これで、心残りはないな・・・では」
ダリがぐいと私に迫ってきた。がたたっと私は後ろ手に手をついて、座ったまま後ずさる。
部屋は十分な広さがあるが、迫ってくるダリから逃れようとしていると、あっという間に壁際に追いやられてしまう。
「なに、怖がらずとも良い。・・・ふむ、面倒だな、動くでないぞ・・・」
一瞬、ダリの両の眼がぬらりと赤く光ったように見えた。瞬間・・・身体が動かなくなる。
「あまり動き回られると面倒じゃからな。少々留め置かせてもらった」
そのまま、ふわりとダリが私を抱きしめる。
「褥(しとね)は、我が衣で良いじゃろう」
シュルシュルと下紐を解き、あっという間に上の衣を脱ぎ捨てる。
そこに私をそっと横たえた。
ダリの衣はまだ、彼の温かさが残っていたし、横になると焚きしめた香の薫りに包まれるようだった。正直、心地が良い。
そのまま横たわった私の顔のすぐ側に手をつく。上半身裸のイケメンに床ドン・・・。相手が妖怪じゃなければハッピーシチュエーションなんだけど・・・。
どうしても、背中の後ろでピコピコ動いているフッさりした尻尾と、可愛らしいふわふわの狐耳が気になってしまう。
だが、私のそんな思いとは裏腹に、ダリは顔を近づけてくる。
ダメ!と思っても、体も動かなければ声も出ない。
これが妖力ってやつですか!?
すっと、唇をかすめるようなキス。
ついで、舌が少しだけ私の唇に分け入り、歯列をなぞるようにする。
「ん・・んん・・」
頭がぼんやりする。
なにこの、ふわっとした甘いキス。
三方を障子に囲まれ、障子のない壁には左手に床の間と平書院、右手には違い棚があった。床の間には真っ赤な山茶花が活けてあった。
古民家、とはいったものの、障子も畳も綺麗であり、三方から差し込む日の光で明るさも十分だ。
「これで、心残りはないな・・・では」
ダリがぐいと私に迫ってきた。がたたっと私は後ろ手に手をついて、座ったまま後ずさる。
部屋は十分な広さがあるが、迫ってくるダリから逃れようとしていると、あっという間に壁際に追いやられてしまう。
「なに、怖がらずとも良い。・・・ふむ、面倒だな、動くでないぞ・・・」
一瞬、ダリの両の眼がぬらりと赤く光ったように見えた。瞬間・・・身体が動かなくなる。
「あまり動き回られると面倒じゃからな。少々留め置かせてもらった」
そのまま、ふわりとダリが私を抱きしめる。
「褥(しとね)は、我が衣で良いじゃろう」
シュルシュルと下紐を解き、あっという間に上の衣を脱ぎ捨てる。
そこに私をそっと横たえた。
ダリの衣はまだ、彼の温かさが残っていたし、横になると焚きしめた香の薫りに包まれるようだった。正直、心地が良い。
そのまま横たわった私の顔のすぐ側に手をつく。上半身裸のイケメンに床ドン・・・。相手が妖怪じゃなければハッピーシチュエーションなんだけど・・・。
どうしても、背中の後ろでピコピコ動いているフッさりした尻尾と、可愛らしいふわふわの狐耳が気になってしまう。
だが、私のそんな思いとは裏腹に、ダリは顔を近づけてくる。
ダメ!と思っても、体も動かなければ声も出ない。
これが妖力ってやつですか!?
すっと、唇をかすめるようなキス。
ついで、舌が少しだけ私の唇に分け入り、歯列をなぞるようにする。
「ん・・んん・・」
頭がぼんやりする。
なにこの、ふわっとした甘いキス。

