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天狐あやかし秘譚
第5章 天佑神助(てんゆうしんじょ)
怖くて目を閉じた瞬間、ドゴン!と巨大な音がした。そっと目を開けると、狂骨が左手に倒れるところだった。右側を見ると、右手に懐剣の鞘を握り、それを突きつけるように腕を前方にかざした御九里が肩で息をしている。

何か、術的なもので攻撃してくれた?

「木気・・・召雷一閃・・・」

だが、狂骨はふらついただけで、倒れるには至らなかった。態勢を立て直すと、御九里に向き直り走り出す。御九里は動かない。いや・・・足がブルブル震えているところを見ると、何か、術的なやつの反動で動けないのかもしれない。

このままじゃ・・・。

もう、一体全体、ダリってば何してんのよ!
あんた私に「骨の髄まで愛してやる」って言ったよね!?
あんな顔してキスしてきて、私を何度も守ってくれて・・・
私、私・・・一人じゃないって思えて、本当に嬉しかったんだから!

・・・来てよ!今、私を助けようとした人が殺されそうになっている、私が守りたい人がなんだかよくわからない妖怪に吸収されそうになっている・・・!

だから、だから・・・こんなところで、私を一人にしないで!!

「ダリー!!!!!」
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