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天狐あやかし秘譚
第5章 天佑神助(てんゆうしんじょ)

雷光が、天から垂直に落ちてきた。
一瞬のうちに目の前が真っ白になる。音?したの?したのかもしれない。でも、あまりの轟音に、耳がそれを受け取ることを拒否したようだ。
無音の世界。
私と御九里の間にいた狂骨に、垂直に真っ白な柱が突き刺さったように見える。
その光がゆっくりと、ゆっくりと収斂する。
そこに、いた。
雷光を迸らせ、輝く白い衣をはためかせた、神にも等しい力を持つ、天狐が。
「ダリ・・・」
涙が、出そうになった。
ダリを中心に爆風が、ついで、爆音が轟く。
きゃああ!!!
両手で目を隠す。あまりの爆音に耳が馬鹿になりそうだ。
爆音が収まり、やっと耳が正常に戻った。
「ダリ!」
もう一度、名を呼ぶ。最強の妖怪、天狐の名を。
「すまぬ・・・綾音。少し探すのに手間取った・・・」
いつも余裕綽々の顔をしているというのに、珍しく歯噛みをしている様子を見せた。苛立っている?狐神モードのダリが尻尾の先まで緊張感を漂わせていた。
「・・・貴様」
狂骨をにらみつけるダリの気配に、ざわりと鳥肌が立つ。皮膚がチリチリと粟立った。多分私だけではない。この公園にいる全ての生き物、植物さえもダリの怒りを大気の震えとして感じているに違いない。
ダリが右手を真横に伸ばすと、そこに、古槍が現れた。あの、曲がり神を一撃で屠った槍だ。
ダリの後ろで、御九里が目を見開いていた。
何事か、呟いているが、私の耳までそれが届くことはなかった。
「くだらん真似をしてくれたな・・・」
ダリが槍を狂骨に向けると、大妖が怯んだように後ずさる。
で・・・でも・・・そのまま殺してしまったら・・・清香ちゃんが!
「だめ!ダリ!・・・胸の中に清香ちゃんがいるの」
ダリが私の方を見た。良かった、通じた。
「清香ちゃんを助けて!お願い!」
ダリを包み込む雷光が少しその勢いを弱めたように見える。一言、狂骨に「動くな」と言うと、そのままダリは私の方に歩いてきた。まるで狂骨などいないかのように、その横を平然と歩いてくる。
え?
一瞬のうちに目の前が真っ白になる。音?したの?したのかもしれない。でも、あまりの轟音に、耳がそれを受け取ることを拒否したようだ。
無音の世界。
私と御九里の間にいた狂骨に、垂直に真っ白な柱が突き刺さったように見える。
その光がゆっくりと、ゆっくりと収斂する。
そこに、いた。
雷光を迸らせ、輝く白い衣をはためかせた、神にも等しい力を持つ、天狐が。
「ダリ・・・」
涙が、出そうになった。
ダリを中心に爆風が、ついで、爆音が轟く。
きゃああ!!!
両手で目を隠す。あまりの爆音に耳が馬鹿になりそうだ。
爆音が収まり、やっと耳が正常に戻った。
「ダリ!」
もう一度、名を呼ぶ。最強の妖怪、天狐の名を。
「すまぬ・・・綾音。少し探すのに手間取った・・・」
いつも余裕綽々の顔をしているというのに、珍しく歯噛みをしている様子を見せた。苛立っている?狐神モードのダリが尻尾の先まで緊張感を漂わせていた。
「・・・貴様」
狂骨をにらみつけるダリの気配に、ざわりと鳥肌が立つ。皮膚がチリチリと粟立った。多分私だけではない。この公園にいる全ての生き物、植物さえもダリの怒りを大気の震えとして感じているに違いない。
ダリが右手を真横に伸ばすと、そこに、古槍が現れた。あの、曲がり神を一撃で屠った槍だ。
ダリの後ろで、御九里が目を見開いていた。
何事か、呟いているが、私の耳までそれが届くことはなかった。
「くだらん真似をしてくれたな・・・」
ダリが槍を狂骨に向けると、大妖が怯んだように後ずさる。
で・・・でも・・・そのまま殺してしまったら・・・清香ちゃんが!
「だめ!ダリ!・・・胸の中に清香ちゃんがいるの」
ダリが私の方を見た。良かった、通じた。
「清香ちゃんを助けて!お願い!」
ダリを包み込む雷光が少しその勢いを弱めたように見える。一言、狂骨に「動くな」と言うと、そのままダリは私の方に歩いてきた。まるで狂骨などいないかのように、その横を平然と歩いてくる。
え?

