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天狐あやかし秘譚
第55章 不立文字(ふりゅうもんじ)
抗議の意味を込めてぎゅうっとだりの腕にしがみつくが、もちろん、それでやめてくれるわけもない。トントン、クニクニ、ぐりぐりと腟内を縦横に刺激する触手の振動は続いていく。そして、ついに私は耐えられなくなる。まるでおトイレでおしっこを出すかのように体の力が抜けてしまい・・・

い・・・イクぅ!

瞬間、体の奥がきゅうっと痙攣し、頭が真っ白になった。そして、開放感とともに、何かがお股から吹き出してしまう。

いやああ!!
なんか・・・なんか出てる!!

この時は知る由もなかったのだが、私はいわゆる『潮』を吹いてしまっていたのだ。じょわあああっとスカートまでびっちょりと濡れていくのを感じたままどうすることもできずに脱力する。

そして、その瞬間。

『うぉおおおおおおお!』

これまでの何よりも大きな貧乏神の雄叫びと、会場を揺るがすような歓声が響き渡った。

『ホームランじゃあああ!!』

大谷が、ホームランを打ったようだ・・・。私はそれをまるで別の世界の出来事のように感じていた。意識がぶっ飛びそうになるのを繋ぎ止めているだけで精一杯だった。

この後、5回の裏にカブスがツーベースヒットで1点を返したものの、大量リードを奪ったドジャーズが最後まで試合を制し、6対3でカブスを下したのであった。

一体何度試合中にイカされたかわからない私は、腰はヘロヘロ、身体はガクガクだった。
そんな私を尻目に貧乏神が上機嫌に騒いでいる。

『いやあ!素晴らしい試合じゃった・・・満足じゃああ!』

ああ・・・そりゃよう、ございました・・・。

その発言を聞いて、安心したのか、私の意識はコトリ、と深い闇に落ちていきそうになる。
『きゃあ!綾音さん、どうされたんですか!』『まま!』『綾音殿!?』という声が聞こえたような気がするが・・・もうダメ・・・身体、フラフラで・・・も・・・意識・・・たも・・・て・・・な・・・い・・・。

私の意識はそのままくるくると闇の中に飲まれていってしまった。
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