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天狐あやかし秘譚
第56章 【第13話:天邪鬼】三人成虎(さんにんせいこ)

☆☆☆
『あの子の言う事なんて、気にしないでいいよ』
『そう・・・なんだ?』
放課後の教室で、二人の女の子が話しをしていた。ひとりは肩までのストレートヘア、もう一人はひとつ結びのいわゆるポニーテール。HRを終え、後は帰るだけ。ふたりとも学校指定の紺のブレザーを着ている。
『そうだよ!え?もしかして知らないの?あの子、めっちゃ嘘つきで評判じゃん』
二人の横から3人目の女の子が口を挟む。教室にはその3人の女の子しか残っていなかった。
『・・・そんな子じゃないと思うけど・・・』
ポニーテールが少しうつむき加減に言う。どうやら、話題の『あの子』をそれほど悪く思っていなかったようだった。
『ああ、そういやあの子とよく話してたもんね。でも、あの子といっしょにいるの、やめたほうが良いよ。まあ、あの子がつく嘘って、害はないだけどね。』
ストレートヘアの子がしたり顔で言った。
『そうそう、なんていうかな・・・?こう、つかなくてもいいような嘘?いっぱいつくんだ。で、話うまいから皆最初は騙されて、そのうち、だんだん『おかしくない?』ってなってくるの』
三人目・・・この子は短めの髪の毛の子だった。
『で、結局みんな、だんだん離れてっちゃうのよね。玲ちゃんはクラス違うから知らないかもしれないけど、最近、あの子と真面目に話す子なんていなくなったんじゃない?』
ポニーテールの子は玲子という。通称玲ちゃん。
『玲ちゃんも距離取ったほうが良いよ、あの子と。ああ、また変なこと言ってるな、くらいに思ってさ・・・気にしちゃダメダメ。相手にしたら図に乗るだけよ』
『そうそう。無視、無視』
そう言って二人は笑う。
まだ納得していない様子の玲子をよそに、もうその話題は終わりだとばかりに、ストレートヘアと短髪の子は今日これから寄り道しようとしているクレープ屋さんについての話をし始めていた。
・・・木下京依(きのしたけい)・・・
今までそんなこと、言ったことなかったのに、なんで、突然、あんな不気味なことを私に言ってきたのだろうか?
二人は気にしないことだと言ったけれども、私は何か悪いことが起きているような気がして、背筋が寒くなる思いが拭えなかった。
『あの子の言う事なんて、気にしないでいいよ』
『そう・・・なんだ?』
放課後の教室で、二人の女の子が話しをしていた。ひとりは肩までのストレートヘア、もう一人はひとつ結びのいわゆるポニーテール。HRを終え、後は帰るだけ。ふたりとも学校指定の紺のブレザーを着ている。
『そうだよ!え?もしかして知らないの?あの子、めっちゃ嘘つきで評判じゃん』
二人の横から3人目の女の子が口を挟む。教室にはその3人の女の子しか残っていなかった。
『・・・そんな子じゃないと思うけど・・・』
ポニーテールが少しうつむき加減に言う。どうやら、話題の『あの子』をそれほど悪く思っていなかったようだった。
『ああ、そういやあの子とよく話してたもんね。でも、あの子といっしょにいるの、やめたほうが良いよ。まあ、あの子がつく嘘って、害はないだけどね。』
ストレートヘアの子がしたり顔で言った。
『そうそう、なんていうかな・・・?こう、つかなくてもいいような嘘?いっぱいつくんだ。で、話うまいから皆最初は騙されて、そのうち、だんだん『おかしくない?』ってなってくるの』
三人目・・・この子は短めの髪の毛の子だった。
『で、結局みんな、だんだん離れてっちゃうのよね。玲ちゃんはクラス違うから知らないかもしれないけど、最近、あの子と真面目に話す子なんていなくなったんじゃない?』
ポニーテールの子は玲子という。通称玲ちゃん。
『玲ちゃんも距離取ったほうが良いよ、あの子と。ああ、また変なこと言ってるな、くらいに思ってさ・・・気にしちゃダメダメ。相手にしたら図に乗るだけよ』
『そうそう。無視、無視』
そう言って二人は笑う。
まだ納得していない様子の玲子をよそに、もうその話題は終わりだとばかりに、ストレートヘアと短髪の子は今日これから寄り道しようとしているクレープ屋さんについての話をし始めていた。
・・・木下京依(きのしたけい)・・・
今までそんなこと、言ったことなかったのに、なんで、突然、あんな不気味なことを私に言ってきたのだろうか?
二人は気にしないことだと言ったけれども、私は何か悪いことが起きているような気がして、背筋が寒くなる思いが拭えなかった。

