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天狐あやかし秘譚
第61章 怒髪衝天(どはつしょうてん)
この一連の行為についに田村が音を上げ、別れ話を持ち出した。もちろん、鹿島は猛反対をしたのだが、田村の意思は変わらず、共通の友人の仲裁なども入り、ついに別れる、ということになったそうだ。同棲していた部屋は田村の部屋だったので、鹿島が自分の荷物を持って出ていくということになったのだが、その最後の日に、鹿島は田村にこう言ったという。

『最後に、自分の親にひと目だけでも会ってほしい』

鹿島が言うには、田村は初めてできた彼女であり、実家の親に彼女を見せて仮初にであっても安心させたい、ということだった。あまりにも鹿島が真剣に言うものだから、田村もほだされてしまい、それを承諾したそうだ。それが3月の下旬のことだったそうだ。

「ところが、それが真っ赤な嘘、だったみたいです」

昼食をとったあと、二人は鹿島の運転で実家があるという山梨に向かった。ところが、ついたところは山奥の廃村で、人っ子一人いないところだったそうだ。そこで鹿島は田村を車から降ろし、『ここで二人きりで暮らそう』と言ったそうだ。

ちなみに、後で知ることになるのだが、実はこの集落は鹿島が5歳まで実際に住んでいたところで、確かに実家といえば実家だったのである。過疎が進んだことで、彼が幼い頃に家族全員で市街地に引っ越したようだった。

「DV男が犯罪者になった瞬間やな」
土御門がポツリと言った。
「鹿島からすると、田村の友人や職場の人が自分と彼女との仲を引き裂こうとしている、だからそれらがいないところにつれていけば、きっと自分を受け入れてくれるに違いない・・・そう思っていたようです」
「狂っとるなぁ」

もちろん、田村が同意するわけもない。帰ると言い張るが、ここで鹿島が完全にブチギレてしまう。田村を廃村にある神社に連れ込み、力ずくでものにしようとしたのだ。だが、このとき、田村はものすごく抵抗した。そして、そこにたまたま落ちていた木の棒のようなもので鹿島を横薙ぎに打ち払ったのだった。

運悪くその棒は鹿島の目にヒットし、鹿島は一時的に目が見えなくなってしまう。恋人の意外な抵抗に更に逆上した鹿島はめくらめっぽうに襲いかかり、結果として廃村の神社の壁を破壊してしまったとのことだった。
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