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天狐あやかし秘譚
第62章 【第15話 黄泉平坂】不知不覚(ふちふかく)
☆☆☆
やっぱり、昼間にあんな話をしたせいだろうか、胸が騒いでよく眠れない。

夜半の女性用宿直室の中で、可奈子は何度も寝返りを打った。どうにもあの絵のことが頭を離れない。時計を見ると、あと30分ほどで見回りの時間になってしまうことがわかる。

結局、全然仮眠ができなかった。

しょうがないと思い、身体を起こす。当直のときに身につけているジャージを羽織ると、水でも飲むかと起き出した。冷蔵庫に冷えていたミネラルウォーターをコップに注ぎ、一息に飲み干すと、身体の変な熱が取れていくような気がする。

バキ・・・

何か、妙な音がした気がして、可奈子が辺りをうかがう。何かが折れたような、そんな音だった。

なんだろう?

もしかしたら、備品がなにかの拍子に倒れて破損した、とかかもしれない。念の為とデスクにある懐中電灯を手に取り、宿直室を出た。左右を見るが、特に変わったものは見えなかった。

しかし、可奈子は異変を感じていた。

風・・・?

宿直室の右手から、風を感じるのだ。もしかしたら前回見回りをした武田くんか誰かが窓を開けて、そのままにしてしまったのかもしれない。そう思った可奈子はそちらの方に歩いていく。宿直室の右手を進むと、丁度施設の出入り口だった。

暗い廊下を懐中電灯の明かりを頼りに歩いていく。特に物音がするわけではないが、自分の歩く足音が古いリノリウム張りの廊下に響いて若干怖い。

懐中電灯で窓を照らしてみるが、どこも閉まっているようだ。だが、風はまだ正面から吹いてくる。この先だろうか?そう思いながら、更に歩いていくと、パタパタと何かが風にはためく音が聞こえた。

この先はもう玄関である。まさか玄関を開けて誰かが出ていったのか、そう思い、ちょっとゾッとする。もし、施設の子どもがこんな夜中に脱走をしたら、それはとんでもない大騒ぎである。

そうならないように、施設の玄関は表からはもちろん、中から出るのにもナンバーロックを解除しなければいけないようになっている。そして、外から不審者が入ってくることを防ぐとともに、かつて素行が悪かった子どもが椅子で玄関扉のガラスを割って外に出てしまった経験があったこともあり、金属製のかなり頑丈な扉になっている。
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