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天狐あやかし秘譚
第67章 危急存亡(ききゅうそんぼう)
どうやらダリにとって、暗闇であることや、道が悪いことは大して問題にならないらしい。まるで昼間に舗装道路を歩いているかのようにスタスタと進んでいく。一方、京本は、狐火による明かりはあるものの、足元の悪い坑道に四苦八苦しながらなんとか歩いている状態だった。坂道は結構長く、曲がりくねっており、京本は途中何度も「ちょっと待て」「こら!おい!」などと声をかけてはダリに呆れたように見られ続けていた。いい加減、腹が立ってきたころ、やっと、少し広いところに出た。

「うお・・・っ!なんじゃコリャ!」

そこは天井が高く、広さは小学校のグラウンドくらいある広いスペースだった。洞窟から出たところから見ると、左右の幅よりは奥行きのほうが倍近く長いようだった。奥には神社の本殿を思わせるような大きな古い社が岩壁にめり込むような形で建てられていた。そして、左右の壁近くには何か人形のようなものが坐禅を組んでいるような形で多数並んでいた。丁度、奥の本殿に進む参道を左右から多数の坐禅を組んだ僧侶が見守っている・・・そんな感じであった。

「きっしょ!なんじゃこりゃ?」

京本が右側の人形に近づいていく。京本が近づいたことによって、人形は狐火の光にさらされ、その様子を一層顕にした。

「ひぇ!」

その姿を見て京本が腰を抜かさんばかりに驚き、後ずさる。それもそのはず、人形だと思っていたのは、皮膚がカサカサに乾燥した人間の死体、いわゆるミイラ、のように見えたからである。一瞬しか見なかったが、あの質感は人形のそれではない、と京本は確信した。

何だよ、これ・・・
ここに並んでるの全部ミイラってことかよ・・・

ざっと京本が、見た限りだが、人形は左右合わせて100以上はあると思われた。ダリは人形にも京本にも関心がない様子で、そのまま本殿に進んでいく。京本はそれに気づくと、舌打ちをしながら、足早にダリの方に駆け寄っていった。

ダリが本殿の前に立ち、それを見上げる。京本は、その目の中に、少し懐かしいものを見るような影を感じた。
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