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天狐あやかし秘譚
第67章 危急存亡(ききゅうそんぼう)
瞬きするほどの時差のもと、先程までダリと京本がいた地点に刃が振り下ろされていた。振り下ろしているのは、身の丈3メートルはあろうかという人骨の化け物だった。人骨とは言え、細かなところには違いがある。例えば、その歯には鋭い犬歯が生えており、また、頭部からは二本の角が突き出ている。

「鬼骨(きこつ)か・・・」

京本を抱えていると不利であると判断したものの、放り出してしまえば鬼骨やミイラどもの餌食になってしまいかねない。ダリ自身は京本の生命に一ミリの執着もないが、この男が死ぬことが綾音の身の危険に直結すると考えれば、殺すわけにはいかない。

面倒な・・・

ダリだけであれば、たとえ不死のミイラ軍団だろうが鬼の骨だろうが、問題なく突破できる。しかし、京本と一緒となると一工夫が必要だ。

京本を抱えたダリの周りはすっかりミイラと鬼骨によって囲まれてしまい、その包囲網はジリジリと狭まってきていた。

「ここから動くでないぞ」

ダリが指先でぐるりと直径1メートルほどの円を地面に描くと、そこに京本を下ろす。手をつき、素早く呪言を唱えた。

「極めて汚きも滞り(たまり)なければ 穢き(きたなき)はあらじ
 内外の玉垣清し清しと申す」

ぼわっとダリが描いた円が輝くと、その内と外が明確に区切られた気配を京本ですら感じた。

ダリは立ち上がると、その右手に古槍を顕現させる。
「すまぬな・・・」

そう、呟いたように京本には感じられた。
ぴょんと、ダリが跳ね上がり、そのまま槍を横一文字に一閃させた。

キュウウウ・・・・

奇妙な音が鳴ったかと思うと、ダリ達を取り囲んでいる全てのミイラたちの胴に横一線の切れ目が入る。

「な!」

ダリは、その古槍の一閃で、この場を埋め尽くす数百のミイラの胴を横薙ぎにしたのだ。ただ、ダリが「不死」と言った通り、ミイラたちは死んだわけではないようで、胴が横薙ぎにされ、身体が二分されたとしてもそれぞれがガタガタと蠢いている。手は自分の胴を探すべくあたりをまさぐるように動き、足は足で、自分の胴の方に向かおうとジタバタとしていた。この世のものではない情景に、京本は腰を抜かしそうになっている。
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