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天狐あやかし秘譚
第67章 危急存亡(ききゅうそんぼう)
「さて、後は主だけだな・・・」
ダリが鬼骨を見上げる。今の一閃で一瞬は骨にヒビが入ったが、鬼骨のそれはすぐに再生してしまっていた。

「これを返してほしいのだろうが・・・そうはいかぬのでな」
ダリは左手に持っている死返玉を握り直すと、右手の槍の穂先を鬼骨に向ける。そのまま左に歩を進め、京本から鬼骨を引き離していく。

鬼骨にしても、ミイラにしても、本来なら『死んで』いる。それなら、なぜ動いているのか?それは、ここに死返玉を隠した何者かが、かつて、玉の呪力で仮初の生を与えたのだ。死返玉がお堂の中央にある限りはその力が封じられており、これらが暴れだすことはない。しかし、そこから動かされた場合には、その封印が破られ、その力が伝搬して、周囲にあるあらかじめ呪を施された死者が蘇る・・・そういう仕掛けになっていたのだ。

それは、死返玉を奪われるのを防ぐためのギミックであった。

そして、その死者の中でも鬼骨は特別製だ。他のミイラが実際の人間の亡骸を用いているのに対して、鬼骨は鬼とされた兵の頭部に、複数の人間の骨を組み合わせて作られた、いわば人工の妖怪とでもいうべき代物なのだ。

以前、清香をその体内に吸収した『狂骨』が罪人の亡骸が積み重なったところに自然発生した妖怪だとすれば、この『鬼骨』は呪詛を用いて半ば強制的に亡骸を組み合わせて作ったものと言える。その強さは、狂骨のそれを遥かに上回る。

洞窟内では雷も満足に呼べぬ・・・
さりとて、不浄のものを清める『光槍』や怨霊を払う『散魂術』は人造物である鬼骨には効力が薄いだろう。
呪力の源を絶とうにも、それは破壊不能かつ手に入れる必要がある『死返玉』そのものなので、無益だ。

「仕方がない・・・膂力で砕くか」
しゅん、とダリの姿が揺らぐように消える。いや、瞬きするほど時間に、ものすごい疾さで移動をしたのだ。右側から横薙ぎに一閃、後ろに回り唐竹割りに一閃、そして左側方からすくい上げるように一閃・・・

一瞬のうちに鬼骨が細切れになり、骨の欠片になって崩れ落ちる。

「ひゅう!」
京本が結界内で口笛を鳴らす。それほど鮮やかな手さばきだった。しかし・・・
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