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天狐あやかし秘譚
第67章 危急存亡(ききゅうそんぼう)
ちっ!

崩れ落ちた骨の欠片は、ほんの2〜3秒の時間でビデオの逆回しのように集まり、組み上がり、あっという間にもとの姿を取り戻す。ものすごい再生能力、である。

そうこうしているうちに、周囲のミイラたちも、胴がくっつき起き上がり始めるものが出てきた。繰り返すことはできるが、埒が明かない上に、ジリ貧だ。

「おいおいおいおい!どうすんだよ、また復活してきちまったじゃねえか!」

京本があたりをキョロキョロし、怯えたような声を上げる。ダリはそれを一瞥し、小さく嘆息した。

致し方ない・・・あまり好みではないが・・・

「おい、京本・・・少し、冷えるぞ」
「ひえ・・・?なに!?」

ダリの言っていることを京本が飲み込む前に、ダリは槍の石突でとん、と地面を叩いた。

「射ゆ獣(いゆしし)の 行きも死なぬと 雪よ氷(ひ)よあれ
 ぬばたまの 夜にかかりし 蒼月(あおつき)に冴え」

石突からきらめく青い光が広がり、それが地面を奔(はし)っていく。その光に触れたミイラが足元から凍りつき始める。光は鬼骨の足元も走り抜け、光が通り抜けたところから巨大な鬼の骨は氷に包まれていった。

ダリが呪言を発してから、地下広間全体が美しい氷穴となるまでほんの数十秒だった。

「すっげ・・・」
ダリの巡らせた結界のおかげか、京本の足元は円形にもとの地面の様子を保っていた。洞窟全体が凍りついているため、気温が一気に下がり、寒さを感じる以外は京本に異常はなかった。

ダリの手元から古槍が消えると、「行くぞ」とだけ言い残し、彼はひとり出口に歩き始めた。京本は凍りついたミイラを避けつつ、慌ててその後を追いかけていった。
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