この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ちょっと待って!溺愛されるなんて聞いてないです!?
第1章 転生したら悪役令嬢でした。
広い空間に私と婚約者と思われる殿下の2人きり。
ああああああ···、沈黙が、沈黙が果てしなくキツイ!お願いだから何か話しかけるとか、興味が無ければお帰り願いたい。私はいつまで寝たフリをすれば良いの?それとももしかして目覚めるチャンスを見逃した?え、墓穴掘った?このままでは緊張で瞼が震えちゃう。
「ミリィ···」
不意に囁かれるように私の耳に届いた殿下のお声。私の名前?ミリィって言うの?
心地よい低い声が、私の鼓膜を震わせて殿下のお声に反応してしまいそうになった。だってそれは、ここに転生する前にやっていた乙女ゲーム『君とバラ色のロマンティクスを』に登場するメインキャラの1人、王太子殿下であるクリス殿下の声その物だったからである。
何度も聞いた攻略キャラクターの声は忘れるはずもない。だって、推しだったのだから!蜂蜜を溶かしたようなハニーブロンドの髪に、アメジストの宝石をはめ込んだような綺麗な澄んだ瞳。190センチの高身長と甘いその整ったルックスからは沢山のファンを生み出し、キャラクター投票は必ず毎回1位だ。
オマケになんと言っても声がイイ!!···って事はアレか?私はクリス殿下の婚約者の悪役令嬢、ミリア・ハートフォーリアか···。なるほど、ヒロインとクリス殿下の仲を引き裂こうとする何とも頼もしいキャラクターに転生してしまったらしいよ!てへぺろってか。冗談じゃない···、私最悪処刑エンドなんですが。で、ベッドに私寝てるってこの子何したの?全然何をしでかしたのか記憶にございません。これって詰んだ?詰んだよね?もうずっと寝たままでいいかな?起きたくないよ死にたくないもの。
「ミリィ」
「···」
なんて考えていたらクリス殿下が私の頬に触って来たよ。びっくりして反応しそうになったけれど、頑張った私偉い。これって目を開けて解決しちゃった方がいいかな?何か面倒事に巻き込まれるのは···ねぇ。
「···、」
「!···ミリィ」
私は意を決して目を開けて、クリス殿下に視線を送って見た。わぁ、綺麗なお顔。アメジストの瞳をまん丸くして、クリス殿下の驚いた顔が私のが初めて見たクリス殿下のお顔だった。
さすが···歴代1位は伊達じゃない。