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ちょっと待って!溺愛されるなんて聞いてないです!?
第1章 転生したら悪役令嬢でした。
暫くお互い見つめ合ったと思う。
クリス殿下の手がそっと私から離れて行って、少しだけひんやりした空気が頬を撫でた。
「···わたくしはいったいどうしたのでしょう?それにどうして殿下がわたくしの部屋にいらっしゃるのでしょうか?」
「覚えていないのか?」
いやぁね。中身が違いますからね、とは正直言い難い。覚えているいないもこっちはトラックに突撃されてこの子の体に入った?いや転生したらしいから、この子がどうなったかなんて、乙女ゲームの進行が何処まで進んでいるのか分からない以上は私には不利な話で···。
けれども、棘を持ったクリス殿下のセリフからして、ヒロインと一悶着あったのだとは、察した。しかしながら状況がいまいち掴め無いんだよなぁ。睨まれる覚悟で殿下に聞いてみる?チラッと殿下を見れば、形の良い眉を額に寄せシワを作っていた。そんなお顔をさせているのも私だなんて···あぁ、なんて素敵k···いやいや今はそんな場合じゃあ無いんだった。思わず悶えてしまいそうになってしまったわ。
「クリス殿下、わたくしはどうやら記憶が曖昧なようで···教えていたたけませんか?」
「···、本当に覚えていないのか?ミリィ、君はルーテシアが階段か落ちそうになったのを庇って、···気を失ったんだ」
「···、まぁ」
えええ···、こわ。どう言う状況?つまりどう言う事だってばよ。ん?だってミリアはヒロインにキツく当たっていたじゃない。婚約者がいる殿方と親しくするのはどうかとか、自分よりも身分の低い立場の物が上の階級層に自分から話しかけるべきでは無いとか···でもそれって考えてみれば貴族社会では当たり前の事で、ミリアはそれを庶民のヒロインに教えて上げたにも関わらず、ヒロインは虐められたって勘違いしてたって事でしょう?言い方も問題があったんだろうけれども。
で、一悶着あってヒロインが階段から落ちそうになったから、私は身を呈して守ったって事でOKかしらね?それにしては体はどこも痛くは無いし、手をグーパーグーパーしても大丈夫だ。普通に行動出来る。にしてはクリス殿下のお顔の表情がちょっと暗い?どうした。
「まぁ、ってそれだけかい?」
「···申し訳ございません。怒っていらっしゃいますよね···?」
クリス殿下の眉がひくっと動いたのを見逃さない。