この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
人外に愛される【短編集】
第2章 カ タ バミ 様
涼介が禁忌の森に入った姿が見えた。

「涼ちゃん!!」

必死に叫んだが涼介はそのまま森の中に消えて行った。







はぁ…はぁ…はぁ…。

森の入り口で鈴は荒くなった息を整えた。







まさか涼介が禁忌の森に入ったなんて。

嫌な予感がする。

こんな時間に、禁忌の森に入るなんて尋常じゃ無い。







「…はぁぁ……。」

鈴は顔を上げて、暗い森の中を見た。

全身が恐怖で震えている。







でも涼介を連れ帰さなければ。







その気持ちだけで、鈴は森の中に入って行った。







「涼ちゃん!!涼ちゃん!!」

何度叫んでも自分の声が森に響くだけだ。

「はぁ…はぁ……。」

疲れている訳じゃ無い、恐怖で漏れた声が息として出ているだけだ。








(怖い!怖いよぉ!!)

鈴は涙を流しながら、それでも森の中を歩いて行った。







「あっ!!」

躓いた鈴の体が倒れた。

「はぁ…はぁ…はぁ……うう…。」







擦りむいた膝を見ながら、鈴はとうとう座り込んで泣き出した。

「涼ちゃん…涼ちゃん…。」

怖くて、心細かくて、鈴は膝を抱えた。







どれだけ時間が経っただろう。

【カタバミ】様がいつ現れるか分からなくて、それが余計怖い気持ちを高まらせる。








「鈴!!」







涼介の声が聞こえて、鈴はすぐに頭を上げた。

「涼ちゃん!!」

泣いている鈴に走って近寄って、涼介は鈴を抱き上げた。







「何やってるんだ!こんな夜に!!」

涼介は焦ったように言った。

「だって涼ちゃんが森の中に入っていったから…。」







涼介に会えて気持ちが緩んだら、涙が滝の様に流れた。

「早く、森を出よう。」

涼介は鈴を抱き抱えたまま走り出した。


/34ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ