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人外に愛される【短編集】
第2章 カ タ バミ 様
「っうぅっ!!」

「?!」

急にバランスが崩れて、涼介の呻き声が聞こえた。







「涼ちゃん!?」

「っ大丈夫だから、目を瞑ってて…。」

体のバランスを戻して、涼介はまた走り出した。

鈴は言われた通り、また強く目を瞑る。








『…ネぇ……一緒……二。』








【カタバミ】様の声が近くで聞こえている。

近くと言うより……。

これは………。







ガタンッ!!

「きゃあ!!」

ガタガタッ!ガタン!!








鈴は何処かに投げ出されて倒れた。

鈴から離れた涼介が、扉を閉めた音が聞こえた。

「……涼…ちゃん……。」







鈴は恐る恐る目を開けた。

鈴が投げ込まれた場所は、木造造りの小さな小屋の様で、鈴は部屋になっている畳のある部屋に横になっていた。

土間を挟んで、涼介がドアを押さえている背中が見える。








その小屋が、森の入り口にある村人が木を伐採する為に休憩している作業小屋だと分かった。








村の近くまで辿り着いた。

鈴は少し安心して、胸を撫で下ろした。















カリガリカリカリカリ………。








しかしすぐに、涼介が抑えている木製の扉を爪で引っ掻く様な音が聞こえた。

「?!いやぁぁぁぁ!!」

鈴は叫んで畳に顔を押し付けて体を丸めた。








見てしまったのだ。







所々隙間が出来てしまっている扉の穴から光る赤い目を。







「鈴!!」

涼介はドアを抑える為のクワを掴むと、そのまま扉に引っ掛けて扉が開かない様にした。







「いや!!やだぁ!!涼ちゃん!!」

うつ伏せになっている鈴を抱き締めるが、鈴は狂った様に暴れて頭を振っていた。











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