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人外に愛される【短編集】
第2章 カ タ バミ 様
「鈴…大丈夫だから!!」

涼介は鈴の頭を掴んで、自分の胸に押し当てた。

「……涼ちゃん……。」







涼介に抱き締められて、鈴は少し落ち着いた様だ。

ゆっくりと大きく息を吐いて吸った。








ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ…。







爪痕は大きくなるが、【カタバミ】様が扉を壊そうとはしていない。

鈴は少しづつ冷静さを取り戻して、涼介の腕の中でやっと体の力を抜いた。







やっぱり涼ちゃんが助けに来てくれた……。







「……涼ちゃん……。」

鈴は落ち着いた声色で、涼介の頬に触れた。

そしてゆっくり目を開けた。
















途端に鈴の体がまた強張った。










「……涼……ちゃん……。」








涼介を呼ぶ鈴の声も震える。







鈴が見た涼介の片目が……。
























赤く光、血の涙を流していた。









「っ!!やぁ!!…涼ちゃん!!」







鈴は思わず涼介の腕を払って、部屋の更に奥に体を逃した。

「……鈴……。」








『……1ツ…二…ナり…タイ……。』








【カタバミ】様の声が部屋の中で聞こえる。

いや……違う……。







「鈴…。」

涼介がゆっくりと鈴に近付いた。

それに比例する様に大きくなる【カタバミ】様の声。















涼介の体から【カタバミ】様の声が聞こえた。







涼介の手が鈴の腕を掴んだ。

『鈴……鈴と1つになりたい…。』

【カタバミ】様と涼介の声が重なった。

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