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人外に愛される【短編集】
第1章 インキュバスくんは愛したい
月明かりの中で覗いたマリアの部屋には。

小さな【マリア像】の置き物と、銀の十字架がベットの横のテーブルに置かれていた。

信仰深いマリアの部屋だと思った。






その置き物の隣りの固いベットで、マリアは目を瞑って小さな唇を少し動かしながら寝ていた。

その表情に、体中の血が湧き立つのが分かった。






【今日からマリアの主は俺になる。】






「…マリア…。」

俺は寝ているマリアに声を掛けて、その可愛い顔を優しく撫でた。

「……ん…。」






マリアは小さな声を出すと、ゆっくりと目を開けて俺を見た。

「……あなたは……。」

しばらく寝ぼけた様に、マリアは半分目を閉じながら俺を見ていた。






そして、すぐに気が付き、ガバっと勢いよく起きた。

「っ!ひっ!」

マリアが大きな声を出そうとした瞬間に、俺はマリアの口を手で塞いで、そのままマリアをベットに組み敷いた。







マリアの大きな瞳には、角が生えている俺の姿が写っている。

その俺の姿を見て、マリアはガタガタと震えていた。







「……しー…静かにしてマリア…。俺の魔力で村中眠らせているけど、叫び声は好きじゃ無い。」

マリアの両腕を片手で掴んで、口元もしっかりと手で塞いでいる。

腕も顎も振動が伝わる位に震えていた。






ジワっと涙が溢れた目でさえ、可愛くて仕方なかった。

「ああ…マリア…、俺はこの日を待ち焦がれていたよ。」

スリッと自分の顔をマリアの頬に擦った。






フワッと香るマリアの匂いに頭が痺れた。

マリカが落ち着く様に、俺も淫魔の魔力を部屋全体に放った。

淫魔の魔力には催淫効果がある。

だんだんと顔が紅潮していくマリアを見て、俺は満足そうに笑った。



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