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イツキとタマキ 〜本通り商店街〜
第1章 イツキとお絵描き
10分後、
ボクはモデルになって下書きと同じポージングをしていました
パンイチで
さすがに下着は脱がないよな、と思ってほっとしました
「やっぱりモデルが居ると違うわねぇ、人物画は描き慣れてるから筆先のクセでなんとなくは描けちゃうんだけど、やっぱり陰影の強弱がわかりやすいわ
あと誰かが居てる緊張感もね」
「緊張感はこっちですよ」
自分だけ半裸で、見世物のようでしたから
「寒くはないと思うんだけど、さっき此処を出るまでは暖房つけてたから、寒かったら言ってね?」
「はい、大丈夫です!やっぱり描きやすいものですか?たくさん描かれているのに?」
「そりゃあ違うわよ、もっと言ったらその時の空気感とか、温度とかで見かたも変わるし、筆の乗せかたも変わるものなの
もうちょっとだけ、うつむいてくれる?」
あれだけ描き慣れていても、やっぱり違うものなんでしょう
それから10分ほど経ったでしょうか、ショウコさんの筆がピタリと止まっていました
「どうしたんですか?またポーズ変わってます?」
「ううん、そうじゃないの……、ただ、何ていうか
男性側だけが浮いてるように思えてきて……、
ちょっと待っててね、どうするか考えるから」
なるほど、確かに以前に描いた女性側と、いま描いてる男性側は当然時差があるわけで、描き方とかも違うのかもしれません
「もう少し影をつけたほうがいいのかしら?」
ショウコさんは独り言のように、誰かから答えを欲しがるようではなく、自分に言い聞かせるようにつぶやいています
「やっぱり独りだから浮いちゃうのかしら?」
ショウコさんもどうしたら良いものか、考えあぐねているようです
そこでボクが提案しました
「ショウコさんもこっちに来て、並んで立ってみますか?」