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イツキとタマキ 〜本通り商店街〜
第1章 イツキとお絵描き
それから数日後
ボクはゲームをしているイツキの顔を簡単にスケッチして、そのあと色を着けていました
「なぁに?ジロウのほうがハマっちゃったの?」
休みの日にのんびりしてたので絵を描いていただけなんですが、タマキは呆れていました
「ちょっと上手くなったと思わない、ほら?」
「アンタは最初から私より上手かったわよ」
タマキは絵を描きません
あまり興味がないみたい
イツキは外て描くときは付き合ってくれますが、家の中ではゲームかテレビに夢中です
結果的にタマキの前ではボクだけが描いてる状況になってます
「じゃあ、仕事に行ってくるわね
たぶん夜は雨が降るみたいだから、出かけるなら先に洗濯物取り込んどいてくれる?」
そう言い残してタマキは仕事に出かけました
ボクは生返事だけして絵の続きをします
こないだのショウコさんの絵を見てから、描き終わりのゴールが遠のきました
今までなら「ここで終わり」というラインから、その先に陰影を付けていく作業が増えたからです
あまり長く根を詰めてくると目も、指も、腕も痛くなってきます
それに座禅を組んでいる足も
ボクは立ち上がってうーん、と背伸びをします
「だめだ!疲れた!イツキ、ちょっと外行こうか?」
「え? うん、じゃあ洗濯物もの取り込むね!」
ゲームしながらもママの言いつけを忘れないイツキ、偉いぞ!
ボクたちは4階から下の商店街まで降りて、目的もなくてくてく散歩
夕方は人が多い
買い物で商店街に来てる人だけでなく、近くは飲み屋街なのでサラリーマンも増えてきました
飲み屋街の通りの少し奥のほうの雑居ビルが立ち並ぶエリアがタマキの働くお店があります
少し小腹が減ったけど、夕飯にはまだ早いかなぁと思ってたらバッタリ、中華料理屋のヨシエさんとヒデオ君と出会いました
「あれ?こんな時間に店を離れてていいの?」
「ヒデオが明日学校で使う絵の具が今の時間になって居るっていうから出てきたの」
「ああ、じゃあボクと一緒に買いに行こう
どうせブラブラしてただけだし」
「そう、悪いわね、ちょっとこの時間お店を主人ひとりはムリそうなんで助かるわ」
ヨシエさんはペコリと頭を下げて来た道を戻っていきました