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イツキとタマキ 〜本通り商店街〜
第1章 イツキとお絵描き
「ヒデオ君は何色が無くなったの?」
「えーとね、赤でしょう?青ももう無いしぃ、
黄色もミドリも無いかも……」
そりゃタイヘンだ
メインの色がほとんど無いじゃないか!
この近くで絵の具を買えるところ、あったかな?
うっすらショウコさんとこの閉まりっぱなしの画材屋さんは思い浮かべたのですが、子供たちを連れて行くのが何となく気まずい……
何だか、ボクの中であの場所はオトナの淫靡な場所のように思えてしまうのです
結局、商店街の中にある100円ショップへ行くことに
商店街に面していて半地下と上の階の2フロアになってます
とりあえず文房具のコーナーへ行って、子供たちの絵の具、そしてボクはスケッチブックを選びました
たいてい文房具コーナーの近くにはおもちゃもあったりするので、おもちゃを見られないようにさっさと買い物を済ませます
買ってあげるのは別にいいんだけど、時間がかかっちゃうからね
文房具コーナーでもたいがい時間かかってましたし、シールやらノートやら見出したらきりが無い
帰りは商店街から離れて、並走する運河沿いを歩きます
あたりは早くも薄暗いですが、時間はまだ夕方です
運河沿いのオープンテラスのカフェも明かりがついてますね
子供連れでカフェに行っていいかわからなかったので、自販機でジュースを買って川沿いに設置してあるベンチに座って3人で話していました
学校のこととか聞いていると後ろから「ジロウ君?」と声をかけられました
振り返るとショウコさんでした
「こんばんは」
「こんばんは、今日も子供の面倒みてるのね」
「ヒマだったんで」
「オチビちゃんたちがいるなら今日はムリそうね、わたしは今から少し描きに行くの!じゃあね」
と言ってショウコさんは去っていきました
「じゃあボクらもそろそろ帰ろうか」
ボクたち3人はヒデオくん家の中華料理屋さんへ
ちょうど店に入ろうとしたときに学生の団体さんが食事を終えてお店を出るところでした
中には数組しかお客さんはいません
「お?ジロウちゃん?すまないな、ヒデオに付き合わせちまって! ちょうど手が空きそうだから座っていけよ?」
店主の夏(か)さんが厨房の中から声をかけてくれました
ボクらも一番奥のテーブルにつきました