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イツキとタマキ 〜本通り商店街〜
第1章 イツキとお絵描き
数日後、
お昼すぎにボクとタマキとイツキの3人で商店街を歩いていたとき、イツキが前の方を指差して
「あっ! 絵のおばちゃん!」
と言いました
ショウコさんです
イツキはひとりでダァーッ!と駆け出してショウコさんの元へ走り出しました
「だれ?」
「絵を描いてるときによく話しかけてくれる人だよ、絵の具をもらったんだ」
タマキは自分の知らない人にイツキが懐いているのが不思議そうです
ショウコさんはこちらには近づかず、ボクらにペコリと頭を下げて立ち去られました
イツキが戻ってきました
「イツキ、よく気付いたなぁ?」
「また川で絵を描いてたら見に行くね、て言ってた」
「そっか、じゃあまたヒデオ君も誘おうな!」
ボクたちもそのまま商店街での買い物に戻ります
でもボクは内心ドキドキしていました
ショウコさんを見かけただけで、性的な存在として見てしまうのです
隣にタマキが居てるのに、男ってどうしようもない生き物だなぁ、とちょっと反省
それから少しして、また仕事が休みの日にヒデオ君に声をかけて絵を描きに行きました
川沿いの花壇まわりは放置自転車でいっぱいです
近くに商店街があるので、みんな違法駐輪してるんです
商店街から少し離れたところまで歩いて絵を描くポイントを見つけました
ペンチが並べてあって、植え込みがありちょっとした憩いの公園のようなスペースです
繁華街の近くなので公園が無いので、ここはちょっとした休憩スペースのようになってるんです
3人でベンチに腰掛けて、川に向かって絵を描き始めました
イツキもヒデオ君も最初は子どもらしいタッチで大胆に荒々しく塗りたくってますが、後半は影をつけたり、明るい色を足したりして、それっぽく描けるようになってます
低学年でこれだけ描けたら上手いほうだと思います
その日は天気も良かったし、冬の冷たい風も無く、のんびり過ごせました
そのとき、後ろからにゅうっ!と手が伸びてきました
「差し入れよ」
振り返るとショウコさんが缶ジュースを持って笑っていました