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イツキとタマキ 〜本通り商店街〜
第1章 イツキとお絵描き

声をかけてくれるのはご年配の方が多いですね

たいていは商店街で働いている方々ばかりです
お互いに名前は知りませんが顔見知りです


暗くなる前に陰影の付け方を教えてあげます

「橋の向こうが明るくて、手前が暗いだろ?
 橋の上が明るくて、下が暗いだろ?
 だから手前と下だけ濃い色にするんだ」


「いっしょに見えるよ?」


「まぁまぁ、そう言わずにそこだけ濃い色を塗ってみなって!

で、薄い色と濃い色の境界があるだろ?
 そのときはこうやって、一回筆を洗って色を無くすんだ、筆から絵の具が無くなったら一回テイッシュで水を拭き取って

 で、何にも絵の具を付けずに湿った筆を境界に置いて、そのあたりを筆でなぞってコチョコチョしたら

 ほら、色が混ざって中間の色になっただろ?

 薄い色から中間の色に変わって、
 中間の色から濃い色に変わる
 グラデーションになっただろ?」


「なった」


そこからイツキはひたすら中間色を作る作業に没頭


橋やら、川やら、街頭の電球やら

なんでもかんでも中間色



うーん、うまいというか、いっきに子供っぽさがなくなってしまったな


余計なことを教えたかもしれません


それまで絵の具の原色ばかり使っていたイツキの絵がなんとなく薄い色合いになったような気がします



そのとき後ろから御婦人に声をかけられました


「うまく描けたわね」


「グラデーションだよ」


「そうね」


知らない女の人と躊躇なく話すイツキは凄いな



御婦人も絵を描いてるみたいで画材を肩から下げていました


「パパに教えてもらってるの?」


「そう!ジロウはグラデーションを使うんだよ」


「大層な言い方するなよ……、恥ずかしいだろ」


「じゃあオバサンが木の描き方を教えてあげる
 ここは筆を使うんじゃなくって…」


御婦人はティッシュを適当に丸めてポンポンとハンコを押すように叩き始めました


そしてもっと明るい色を重ねていきます


最後に濃い色をポンポン


筆を使わずテイッシュポンポンで
薄い色、中間色、濃い色のグラデーションを作り上げました


おおっっ!!


街路樹だ!


もはや子供の絵のように見えません


イツキはいっぱしの画家気取りになりました


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