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イツキとタマキ 〜本通り商店街〜
第1章 イツキとお絵描き
夕方、暗くなるまで3人で談笑しながら絵を仕上げていきます


御婦人はショウコさんと言う方で、この商店街の近くで画材屋さんをされているそうです


と言っても旦那さんとは死別されてしまったようで、店はほとんど開けてないのだそう


ときどき画材を取りに店まで来るのだそう


「家は近くなんだけど、孫とかも居るから荷物をあまり置けなくて、お店を倉庫がわりにしてるの」


そんな話しをしていると辺りはかなり暗くなってきました



橋に灯る電球も風情がありますが、ボクらが描いていた景色とかなり異なってしまいましたのでそろそろ引き上げどきです


「じゃあまたね、イツキくん、ジロウくん」


「ばいばーい」



ボクらも満足げにその場を撤収しました



時間はすでに七時をまわっています

携帯を見るとタマキからメールが来ていた事に気づきませんでした


どうやらギリギリまで寝ていたらしく夕飯の用意が出来なかったそうです


この時間でしたらすでにタマキはお店の方へ出ている頃でしょう



ボクたちは商店街の中にあるいつもの中華料理屋さんに行くことにしました



ここはイツキのクラスメートの男の子が営まれている小さなお店です



店長の夏(か)さんは明るいお父さん

奥さんは日本人でヨシエさんで大人しい方です


「どれどれ、おお!イツキ!めちゃくちゃ絵が上手いじゃねぇかッ!?お店に飾ってやろうか?」


「よしなよ、せっかくイツキちゃんが描いたのに油まみれになっちゃうよ?」


そんな夫婦のやりとりを見てたらクラスメートの男の子がカラの額縁を持ってきてくれました


「これに入れたら?」


子供ふたりでスケッチブックの絵をハサミで額縁の大きさに合わせてカットしていきます


中華料理屋の壁に飾られたイツキの絵はまるで画家が描いた水彩画のようです


イツキも照れながらも喜んでいました


今度描きにいくときは男の子も誘うことにしましょう


絵を描くだけで色んな人と触れ合うことが出来た一日でした


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