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女性のための犯され短編集
第15章 最終電車で犯される

「……寝てるっぽいね」

「……うん、マジで気づいてない」

 声はすぐ近くから聞こえる。彼女の座るボックス席の斜め前あたりだろうか。電車内の静寂を切り裂くように、二人の会話が続く。

 カサッ

 何かが擦れる音がした。彼女の意識が少しずつ鮮明になる。夢じゃない。確かに誰かが近くにいる。だが、起き上がるほどの危機感はまだ湧いてこない。

 終電に乗る酔っ払いや変な人に慣れている彼女にとって、こんな時間に騒ぐ声くらい、どうということもない……はずだった。

「……触ってみようぜ」

「……え、ほんとに?やばくない?」

「大丈夫だって。こんな時間、誰も見てねえよ」

 その言葉に、彼女の背筋がピクリと反応した。眠りの霧が一気に晴れそうになる。触る?何を?誰を?まさか……。

 だが、彼女はまだ目を閉じたままだった。

 起きていると気づかれたら面倒だ。悪ふざけで絡んでくるパターンかもしれない。そういう時は寝たふりが一番だ、と自分に言い聞かせる。

 ....スッ

 しかし次の瞬間、彼女の太ももに冷たい感触が走った。

「……!」

 指だ。

 誰かの指が、スカートの裾を少し持ち上げ、太ももの内側に触れている。

 ひんやりとした手。震えているような……不慣れな動き。彼女の心臓がドクンと跳ねた。

(何!?何!?)

 頭の中で警鐘が鳴り響く。だが、身体は硬直したまま動かない。恐怖と混乱が混ざり合い、思考がぐちゃぐちゃになる。起き上がって叫べばいい。逃げればいい。でも、もし相手が刃物でも持っていたら?この終電に助けてくれる人がいる保証はない。

「……柔らかい……」

 声は二人。まだ大人とは言えない、ひっくり返りそうな声。中学生くらいだろうか。

 彼女の太ももを撫でる手が、もう一人の手と入れ替わる。二人とも、恐る恐るといった様子で触れている。


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