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女性のための犯され短編集
第7章 巫女は鬼に犯される
そこから長い旅路を終え、いよいよ山頂に着こうとする時。駕籠(カゴ)で運ばれていた巫女は、護衛の兵と運び手を止めた。
「ここまでで構いません。わたしを残して、皆さまは山を下りてください」
「…!?ですが巫女さま、急がねばもうじき日が暮れてしまいます。モノノ怪の力が強まる夜は危険です!」
「問題ありません。…それに夜まで待たねば鬼には会えぬのです」
「え…?」
「どうか、下山してくださいませ」
反対する男たちを説得し、巫女はひとり山へ残った。
「──…さて」
シャラ...シャラ....
ゆっくりと山頂を目指し登っていく。
シャラ...シャラ...
日が暮れて、暗闇に包まれた山は不気味である。
動物の気配は全くなく、風さえも途絶えて、息を潜めているようだ。ただ彼女が持つ錫杖(シャクジョウ)が揺れる音だけが、シンッ──と静まり返った山の中で、物悲しく鳴っていた。
──ザッ
(…見つけた。あれが鬼が住みついたと言われるあばら家ね)
立ち止まった彼女の前には、風雨にさらされボロボロの家屋が現れた。
人々が言うには、これが鬼の住処らしいけれど…
(やはり鬼の気配はない)
巫女は頭上を見上げ、木の葉の隙間から空に浮かぶ月を見た。
その月の角度から、今の時刻を推し量る。時間はちょうどよかった。
──トンッ
彼女は片手に錫杖(シャクジョウ)を掲げ、それを地面に突き刺す。