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女性のための犯され短編集
第7章 巫女は鬼に犯される

「……!」

「一度だけ機会をやろう。迷い込んだことにしてさっさと立ち去れ」

「わ…わたしは…あなたを祓いに来たのです」

「クク……震えているがな?」

「これは…!」

 逃げ腰ではいけない。巫女は錫杖をぎゅっと握りしめた。

 この鬼は強い──それは痛いほど伝わる。

 だが逃げては駄目だ。彼女は目を閉じ集中して、片手で印(イン)を結び、もう一度錫杖を高く掲げた。

 リン──!

 それを勢いよく地面に突き刺した時、大きな鈴の音が辺りを震わせた。

「──ッ!?」

 衝撃波のようにして広がり、鬼に直撃する。すると鬼は身動きがとれなくなった。

「……ッ…?」

 ビリビリと雷撃にうたれる感覚が鬼を襲う。

 困惑する鬼の足元へ巫女はゆっくりと近付いた。

 懐から御札を出す。

「動けませんよ。これで…あなたを祓います…!」

「女…っ…お前、面白いな……」

「鬼界へお戻りなさい!」

 巫女が近づくに合わせて、鬼を拘束する雷撃の力も強くなる。歯を食いしばり拳を握るが、変わらず動きは封じられていた。

 巫女は最後に御札に念をいれ、それを鬼の胸に貼った。

「ッッ──ぐぁ…!」

 鬼が苦しみ出す。

 巫女は気力の続くかぎり集中して、胸の内で念を唱えた。


 ───パリンッ!!!


「──きゃああ!!」

 しかし突然、錫杖の先が粉々になって弾け飛ぶ。


(そんなっ…錫杖が…!?)

 それに続き、鬼に貼った御札も、真っ黒の炭に変わってしまった。

 ガッッ...!

 信じられないと目を見開いた巫女の細首を、鬼の手が素早く掴んだ。



「‥‥‥ッッ‥‥ぁ‥う゛‥‥!」

「ク……ククク……、久方ぶりに胸が踊る……!」

 苦しむ彼女の顔を覗き込み、鬼はニヤリと黒笑した。


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