この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女性のための犯され短編集
第8章 幽霊アパートで犯される
『・・・・コイ・・・・コ・・イ』
人の声とは違う。低く…這いずるような声
『・・オ"・・・テ、・・コ"・ィ・・』
『・・・・・・コイ』
『・・・コイ・・・コ、ィ"・・・』
すぐに声は自分のまわりを取り囲むように増殖した。金縛り特有の耳鳴りではない。ある明確な感情を伴う言葉だ。
《 コイ 》
自分は呼ばれている。どこに?──知るよしもない。
「‥‥ッ‥!!」
彼女はパニックだった。夢なのか、これは悪夢なのかと疑うが、そうとは思えない生々しい感触が肌にある。
体温と呼べるような温かさはなかった。
「‥ヴ‥‥ア‥っ‥!‥‥たす‥け‥!」
助けを求めて叫んでもまるで蚊がなくようだ。首を掴んでいる手の力が強くなって、どんどん苦しくなる。人間ではないナニカが自分を締め殺そうとしている…。
「‥ぃ‥や、ア゛‥‥‥たす‥‥‥け‥‥‥て‥‥‥ッッ」
凄まじい恐怖で朦朧としてくる意識。尋常ではない汗を滲ませる彼女は、謎の呪縛の中でどうすることもできなかった。
その時だ
ピンポーン
真夜中だというのに、部屋のチャイムが鳴り響いた
「‥ッッ‥‥‥!」
普段であれば怖い。しかし今は、それ以上の恐怖が彼女を襲っている。
(助けて!誰でもいいから助けて!!)
ワラにもすがる思いで彼女が玄関へ視線を送ると、なんと今まで動かなかった頭がその方向に動いた。
動けるようになったのだ。全身を押さえつけていたあの恐ろしい手が、突然いなくなった。
(動ける!!今のうちにっ…!)
彼女は一心不乱に玄関まで走った。
──バタン!!
「うわっ!!」
「……っ」
勢いよくドアを開けて外に飛び出した彼女とぶつかったのは、下の部屋のお兄さんだった。