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禁断の果実
第5章 婚約者
「昨夜はありがとう…心配して夜中まで私の面倒看てくれていたのね…」
すると、響はとても悔しそうにこう言うのだ。
「俺、自分が情けなくてさ、先生を守れなかった…」
「そ、そんな事ないわ、前澤くんに怪我がなくて良かったわよ…」
その言葉を聞くと響は余計に悔しそうにするのだった。
私は響を家に帰さなくてはならないと思っていた。
一晩、息子が帰ってきていないと知ったら親御さんはさぞ心配しているに違いない。
早く返さなくてはならないと思った。
「前澤くん、私もう大丈夫だから家に帰って…」
「え?先生をこのままにしては帰れないよ…」
「彼氏に連絡して来てもらうから大丈夫よ…」
響はそれを聞くとちょっと淋し気な顔をしていた。
「彼氏に来てもらうんなら、俺は必要ないよな…」
「そ、そんな事ないわ…昨夜は一緒にいてくれて私、どれだけ心強かったか…」
「でも、俺、何もできなかった…」
「自分を責めないで…」
響は私の顔を見ながらも悔しそうで仕方がない様だった。
私は何とかして響を家へと帰さなくてはいけないと思っていた。
「前澤くん、もう、私本当に大丈夫だから、それに彼氏にも来てもらうわ、だから今日は家に帰って欲しいのよ、ご両親も心配していると思うし…」
「親父やお袋は心配なんてしてないさ…」
「そんなことないわ…」