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禁断の果実
第5章 婚約者

「高岡先生、大丈夫ですか?声を聞くとかなり酷い様に感じますが…」
「は、はい、大丈夫です…寝ていれば良くなると思いますので…」

電話口に出た教師はとても心配している様に感じた。

昨夜の事は優一郎以外の人には話したくなかった。
それに、黒髪の長い男の言葉を思い出していた。

「誰かに今夜の事を話したらネットでこの動画を流すからな…」

私はこの言葉がとても怖かったのだ。
私は電話を掛け終わるとまたベッドへと横になった。

昨夜、レイプされた時にかなり身体のあちこちにあざが出来ているのではないかと思っていた。
その打撲の跡が今朝になってやけに痛むのだった。

優一郎が来るまでの間の時間はとても長く感じたのだ。
私の身体と心はある意味疲れ切っていた。

私は何気にその疲れに勝てずにベッドの中でウトウトとしてしまう。
ウトウトとしながらも響の事を考えていた。

ちゃんと家には帰れたのだろうか。
両親から昨夜家に帰らなかったことを咎められたりしていないだろうか。

そんな事を考えていた。
優一郎が来たら、どの様に話をしたら良いのだろうか。

彼はどんな表情を浮かべるのだろう。
そんな事を考えていると私はまた眠ってしまった様だった。

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