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禁断の果実
第5章 婚約者
私は誰かが私の名前を呼ぶ声で目が覚めた。

「る…い、…る、瑠唯…」

その声は優一郎だったのだ。
私はベッドから上半身を起き上がり優一郎の顔を見た。

優一郎がもう一度私の名前を呼んでくる。

「気が付いたか?瑠唯、大丈夫か?俺だよ…」
「優一郎さん…」

私は優一郎の姿を見るとまた瞳から泪が溢れてくるのを感じていた。

「瑠唯、一体何があったんだ?」
「優一郎さん、わ、私…」

そう話すと言葉に詰まってしまった。
優一郎がキッチンに行きミネラルウォーターをグラスに入れて持ってきてくれた。

「さ、瑠唯、これ飲んで落ちつこうか…」
「う、うん、あ、ありがとう…」

私は優一郎から渡されたグラスの水を少しだけ口に含むと飲み込んだ。

「何があったんだ?」
「う、うん、昨夜の事なんだけど…」

「なんだ?」
「わ、私、美術館の帰りに3人組の男に襲われたの…」

「え?襲われた?」
「え、ええ、そうよ…」

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