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禁断の果実
第5章 婚約者
「瑠唯っ!!」
「優一郎さん、こんな汚い私でごめんなさい…」
そう言うと私はまた泣き始めたのだった。
尚も優一郎はこう言うのだ。
「瑠唯、俺は瑠唯が自分の事を責めて、汚らわしいと思っていても瑠唯と結婚したいんだ…」
「それは、もう、無理よ…」
「どうしてなんだ…」
「婚約は無かったことにして…」
「俺を責めてるのか?」
「責めてなんかいないわ…」
私の精神はこの時かなりおかしかったのだと思う。
優一郎は私がレイプをされても結婚したいと言い張った。
だが、この時の私にはもう明るい未来など考える事が出来なかったのだ。
この汚れてしまった自分の身体を呪った。
どうして、あの出来事が起きてしまったのか。
何故、回避できなかったのか。
私は自分を責めた。
そして、許そうとはしなかったのだ。
「優一郎さん、私の事は忘れて、諦めて欲しい…」
「俺は、瑠唯の事は諦めたり、忘れたりなんかしない…」
優一郎は私の事を決して見放さず、受け容れると言ってくれた。
だが、私の心がそれを許さなかった。
優一郎には何故か響の事が話せなかった。
響と一緒だった事を話せばきっと響を責めるだろう。
それだけは避けたかった。