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禁断の果実
第6章 部室
響は円錐を見てそれをデッサンしてゆく。
デッサンと言う言葉はフランス語で「線を引く」という意味だ。
一般的にデッサンは、鉛筆や木炭などの画材を使用し、モチーフの形をモノトーンでとらえて描くことを言う。
日本語では「素描」とも言われることもある。
デッサンには主に形や光をとらえ、基礎画力を身に着けるために学ぶとされる。
響は真剣に円錐をデッサンしていった。
他の生徒がデッサンし終わってゆく。
他の生徒が私にこう言ってくる。
「高岡先生、今日はこれで終わりにします、また明日来ますのでよろしくお願いします…」
「分かったわ、お疲れ様…」
5~6人ほどいた生徒たちが次々と部室を後にしてゆく。
気が付けば私と響二人だけが部室に残る形となってしまった。
部室の窓からは強い西日が射しこんで来た。
私は響のデッサンを見た。
円錐の形は完ぺきだった。
響は円錐の影を今描いていた。
影の薄いところを指先で少し擦り、濃淡をつけている。
私はそれを見てこう言ったのだ。
「前澤くん、影の濃淡は指で擦らないで鉛筆で描くようにした方が良いわね?」
「え?そうかなぁ?」
ちょっと響は不満そうにしてそう言うのだ。
私は響が描く手に自分の手を添えた。