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禁断の果実
第8章 告白

「ゴッホと同じ絵は描けないけどね…」
「それはそうよ…」

私はそう言うと笑ったのだ。
すると、響も笑って見せるのだった。

この星月夜には、芸術家の苦悩と希望、そして人間存在の意味への深い洞察が込められていると私は思っていた。

ゴッホが精神病院に入院中に描いたこの絵は、彼の内面世界を映し出す鏡であると同時に、私たち一人一人の心の中にある感情の渦を表現しているようにも思えるのだった。

そんな事を思っている時、響がちょっと心配そうにこう聞いてくる。

「先生、もう、大丈夫なのか?」
「え?なんのこと?」

私は響がレイプ事件の事を言ってきたのだと思っていた。
もう、あの事件には触れて欲しくなかった。

「え?美術館の帰りのことだよ…」
「その話はしないでくれないかな?」

「え?」
「もう、思い出したくもないし、忘れたいの…」

「そ、そうなのか?」
「ええ、そうよ…」

私はちょっと暗い気持ちでそう言ったのだ。
だが、響は尚もこう言ってくる。

「あの時は、本当に俺が悪かったんだ、ごめんな、先生…」
「べ、別に、前澤くんが悪い訳じゃないわ…」

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