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雨が好き
第50章 帰り道
「私、水際さん、好きです」
口から出たのは、こんな簡単な言葉だった。
本当は、『好き』なんて一言では言えないくらいのいっぱいの思いがある。

「アイツ、一生懸命なんだ、
 なんか、すごく心配させちゃってさ、
 その・・・昔の・・・人のことで。
 だから、一生懸命、僕のこと励まそうとして」

それで、あんな感じで変にテンション高くて、ごめん

そう、蒼人さんは言った。

「でも、よかった、みなとさんが水際を好きと言ってくれて。
 アイツ、スゴイいいやつなんだ。
 なんで、彼氏いないんだろうって、不思議なくらい。
 多分、今、夢に一生懸命で、それどころじゃないんだろうな・・・」

アイツ、本当にスゴイんだ・・・

蒼人さんが水際さんのことを褒めるたび、
彼女のことを話すたび、
私の胸はチクチクいたんだ。

蒼人さんが水際さんに向ける好きの気持ちと、
水際さんが蒼人さんに向ける好きは、
同じ『好き』だけど、
苦しいほどに、違うから・・・。

そして、私は、どこに立っていていいか、
わからなくなってしまう。

私も、蒼人さんが、好き、だから。
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