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雨が好き
第50章 帰り道

「プレゼント、ありがとう」
「うううん、こっちこそ。
蒼人さんのお誕生会なのに、私もプレゼントもらってしまって」
「しおり、大事にする」
「傘・・・いつも持っていく」
こんなおしゃべりをして、電車に乗って、
すごくゆっくり歩いたつもりなのに、それでも着いてしまう。
『みなと町』の扉の前。
「今日はありがとう」
「うん」
「また、食事にでも」
「うん・・・足、大丈夫?」
「うん・・・歩けるから」
「よかった・・・」
視線が絡み合う。
キスしていい?
キス・・・
大丈夫?
うん・・・多分、この前も平気だった
少しだけ?
うううん・・・いっぱい・・・
『みなと町』の扉の前
唇が重なる
何度も、何度も
蒼人さんの手が私の背中を優しく撫でる
唇から、吐息が漏れる
好きな人の唇から伝わる体温が
私を温めてくれる
最後に、ぎゅっと抱きしめる
抱きしめ合う
別れがたいけど、バイバイする。
ゆっくり歩く蒼人さんが、宵闇に溶けて見えなくなるまで、
私は、小さく手を振って見送った。
そのとき、唇に残る熱に指で触れて
たまらなく寂しくなった。
たまらなく寂しくなって
なぜだか、また、水際さんの顔を思い出していた。
「うううん、こっちこそ。
蒼人さんのお誕生会なのに、私もプレゼントもらってしまって」
「しおり、大事にする」
「傘・・・いつも持っていく」
こんなおしゃべりをして、電車に乗って、
すごくゆっくり歩いたつもりなのに、それでも着いてしまう。
『みなと町』の扉の前。
「今日はありがとう」
「うん」
「また、食事にでも」
「うん・・・足、大丈夫?」
「うん・・・歩けるから」
「よかった・・・」
視線が絡み合う。
キスしていい?
キス・・・
大丈夫?
うん・・・多分、この前も平気だった
少しだけ?
うううん・・・いっぱい・・・
『みなと町』の扉の前
唇が重なる
何度も、何度も
蒼人さんの手が私の背中を優しく撫でる
唇から、吐息が漏れる
好きな人の唇から伝わる体温が
私を温めてくれる
最後に、ぎゅっと抱きしめる
抱きしめ合う
別れがたいけど、バイバイする。
ゆっくり歩く蒼人さんが、宵闇に溶けて見えなくなるまで、
私は、小さく手を振って見送った。
そのとき、唇に残る熱に指で触れて
たまらなく寂しくなった。
たまらなく寂しくなって
なぜだか、また、水際さんの顔を思い出していた。

