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雨が好き
第54章 ひとりじめ
蒼人さんのマンションから駅までは、川沿いの道を歩く。
車道の横の細い歩道を歩いて、
川を遡る方へと進む。

今日は、いいお天気で、
空には刷毛ではいたような薄い秋の雲が幾筋も流れていた。

空・・・とっても高いな。
車が途絶えると、川の流れる音がよく聞こえる。
紅葉を始めた葉っぱが、くるくると流れていた。

横に蒼人さんがいたら。
そう考えてしまって、私はぶんぶんと頭を振る。

ひとりじめしたいとか、
 そんなのダメだから・・・

「みなとちゃーん!」
ぱたた、ぱたたと後ろから走ってくる足音。
大きな声で私の名前を呼ぶ女性(ひと)。

「やっと・・・やっと・・・追い付いたよ・・・」
ぜえぜえ、はあはあ・・・
きれた息を何度か深呼吸して整えようとしていた。

「水際さん・・・?」

私の目はきっとびっくりして丸くなっていただろう。
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