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雨が好き
第60章 紅葉狩り
少し登って、お休みして、
お話して、お茶を飲んで。

また歩いて、景色を見て、
開けたところで、一休みして。

鳥の声、木擦れの音、
私達が踏みしめる落ち葉がサクサクと音を立てる。
蒼人さんの息遣い、
私の心臓の鼓動。

あとは、静かな、静かな山の中。
ゆっくり、ゆっくりと時間が過ぎていく。

「そろそろ、最初の目的地です」

斜面の頂上が見えてくる。山の尾根だろうか。
登り切ると、ぱっと視界がひらけた。

「・・・すごい・・・」
息を呑む。

目の前の斜面を紅葉した木々が飾る。
眼下には大きな岩で形作られた渓流が見える。
澄んだ水が流れ、そこここにある小さな滝で水は白いしぶきをあげていた。

色づいた葉が流れに乗って、くるくると踊っている。

「ここ、きれいでしょ?」
いつの間にか私のすぐとなりに立っていた蒼人さんが、言った。
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