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雨が好き
第63章 お墓参り

【お墓参り】
栞さんのお墓は、電車で1時間ほどのところにあった。
お昼のお客さんが少し落ち着いた頃、私は『みなと町』を出発した。
蒼人さんとは、駅で待ち合わせの予定だった。
どんな服を着ていけばいいのだろう、と思ったけれど、蒼人さんが『普通の服で』ということだったので、ベージュのスカートにホワイトのニットという、当たり障りがないような格好で行くことにした。
蒼人さんはやっぱり約束よりも早く着いていた。
ブラウンのジャケットに、黒っぽい厚手の長袖Tシャツ。そして、下はやや明るめのベージュのパンツだった。肩からは小さめのトートバックをかけている。
軽く手を振り合い、駆け寄る。
「お待たせしました」
「大丈夫、予定前」
「蒼人さん、いつも早いから」
「いいの、いいの」
いつもの会話。
そのまま改札をくぐって、電車に乗り、ゆらゆら揺られて1時間。
他愛のないおしゃべりをしていたけれど、こころなしか、いつもの蒼人さんよりおしゃべりが少ない気がした。
私の方はと言うと、本当は聞きたいこと、聞かなきゃいけないことがあるのに、それを聞けなくて、やっぱり少しぎこちなかった。
だからかもしれない。
いつもより、言葉が途切れる時が多かった。
栞さんのお墓は、電車で1時間ほどのところにあった。
お昼のお客さんが少し落ち着いた頃、私は『みなと町』を出発した。
蒼人さんとは、駅で待ち合わせの予定だった。
どんな服を着ていけばいいのだろう、と思ったけれど、蒼人さんが『普通の服で』ということだったので、ベージュのスカートにホワイトのニットという、当たり障りがないような格好で行くことにした。
蒼人さんはやっぱり約束よりも早く着いていた。
ブラウンのジャケットに、黒っぽい厚手の長袖Tシャツ。そして、下はやや明るめのベージュのパンツだった。肩からは小さめのトートバックをかけている。
軽く手を振り合い、駆け寄る。
「お待たせしました」
「大丈夫、予定前」
「蒼人さん、いつも早いから」
「いいの、いいの」
いつもの会話。
そのまま改札をくぐって、電車に乗り、ゆらゆら揺られて1時間。
他愛のないおしゃべりをしていたけれど、こころなしか、いつもの蒼人さんよりおしゃべりが少ない気がした。
私の方はと言うと、本当は聞きたいこと、聞かなきゃいけないことがあるのに、それを聞けなくて、やっぱり少しぎこちなかった。
だからかもしれない。
いつもより、言葉が途切れる時が多かった。

