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雨が好き
第63章 お墓参り

駅に着いたら、お墓のあるお寺まで、少し歩く。
秋の空はぐんと高くて、昼下がりの日差しはなおさら柔らかい。
暑すぎもせず、寒すぎもせず。
ちょうどいい気候の中、歩いていた。
「彼女は、高校の先輩だったんです」
不意に、蒼人さんが話し始める。
「栞・・・さん?」
「水際から、話、聞いた?」
私は、コクリと頷いた。
並んで、ゆっくり、ゆっくりと歩く。
「じゃあ、父のことも?」
「うん」
「水際は・・・みなとさんのこと、本当に信頼しているんだな」
「え?」
「多分、あいつ、父のことや、僕のことは、ほとんど人に話さないでいたはずだから」
水際はいつも自分ひとりで抱え込むんだ。
そうして、いつも誰かのことを心配している、と蒼人さんは言った。
「家にいれば母のこと、僕のこと。
父が亡くなって、一番明るく振る舞っていたのはあいつだった。
みんなが落ち込まないように、必死みたいで。無理しているのが丸わかりで・・・。
あいつは、いつも自分のことは一番最後にする。だから・・・。」
蒼人さんは、水際さんのことをよく見ている。
やっぱり、兄妹・・・一番、理解している。
そして、二人はよく似ていた。
秋の空はぐんと高くて、昼下がりの日差しはなおさら柔らかい。
暑すぎもせず、寒すぎもせず。
ちょうどいい気候の中、歩いていた。
「彼女は、高校の先輩だったんです」
不意に、蒼人さんが話し始める。
「栞・・・さん?」
「水際から、話、聞いた?」
私は、コクリと頷いた。
並んで、ゆっくり、ゆっくりと歩く。
「じゃあ、父のことも?」
「うん」
「水際は・・・みなとさんのこと、本当に信頼しているんだな」
「え?」
「多分、あいつ、父のことや、僕のことは、ほとんど人に話さないでいたはずだから」
水際はいつも自分ひとりで抱え込むんだ。
そうして、いつも誰かのことを心配している、と蒼人さんは言った。
「家にいれば母のこと、僕のこと。
父が亡くなって、一番明るく振る舞っていたのはあいつだった。
みんなが落ち込まないように、必死みたいで。無理しているのが丸わかりで・・・。
あいつは、いつも自分のことは一番最後にする。だから・・・。」
蒼人さんは、水際さんのことをよく見ている。
やっぱり、兄妹・・・一番、理解している。
そして、二人はよく似ていた。

