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雨が好き
第63章 お墓参り

「あいつにはのびのび過ごしてほしかった。
でも、結構自分もショックが大きくて、急に家族の収入なくなっちゃったのもあって、どうしたらいいのかわからなくて・・・。
そんな途方に暮れていた時、僕を支えてくれたのが、彼女・・・笹屋先輩だった」
初めて蒼人さんの口から聞く名前。
笹屋先輩。
言葉だけで、なんだか心がざわりと揺れた。
ちらりと蒼人さんの顔を見た。
少し遠くの山の方を見ているようだったけれど、心は『ここ』にある、と思えた。
そうこうしているうちに、目的地についたみたいだった。
「ここです」
大きめの墓地がある、お寺。参拝者用の入り口から入っていった。
入口近くにあった水桶と柄杓を手にとって歩く蒼人さんについていく。
いくつものお墓を抜けたところに、それはあった。
『笹屋家代々之墓』
笹屋・・・栞さん。
蒼人さんの元の恋人。
雨の日に昏睡に陥って、そのまま帰ってこなかった人。
私のイメージの中では、まだ彼女の顔は真っ白だった。
でも、結構自分もショックが大きくて、急に家族の収入なくなっちゃったのもあって、どうしたらいいのかわからなくて・・・。
そんな途方に暮れていた時、僕を支えてくれたのが、彼女・・・笹屋先輩だった」
初めて蒼人さんの口から聞く名前。
笹屋先輩。
言葉だけで、なんだか心がざわりと揺れた。
ちらりと蒼人さんの顔を見た。
少し遠くの山の方を見ているようだったけれど、心は『ここ』にある、と思えた。
そうこうしているうちに、目的地についたみたいだった。
「ここです」
大きめの墓地がある、お寺。参拝者用の入り口から入っていった。
入口近くにあった水桶と柄杓を手にとって歩く蒼人さんについていく。
いくつものお墓を抜けたところに、それはあった。
『笹屋家代々之墓』
笹屋・・・栞さん。
蒼人さんの元の恋人。
雨の日に昏睡に陥って、そのまま帰ってこなかった人。
私のイメージの中では、まだ彼女の顔は真っ白だった。

