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雨が好き
第64章 桜

【桜】
「ねえ、私と付き合わない?」
真っ黒なストレートヘアにちょっと勝ち気な表情が特徴的な女性(ひと)、笹屋先輩が僕に言った。
それまでそんな素振り一切なかったのに、あまりにも意外すぎて、身体が硬直する。
「そ・・・それって・・・」
「告白よ、こ、く、は、く!ね?どうなの?」
この時、僕は生まれて初めて女子からの告白というものを受けた。
ただ・・・
「か、考えさせてください」
僕らが高校生だったこの頃、僕の家は、親が不在にすることが多かった。父も母も仕事が忙しくて帰りが遅い。まだ小学校6年生の水際を余りひとりで家に置いておくわけにはいかない。それに、ただでさえ部活などで忙しいのに・・・付き合うって・・・。
そもそも、女の人と付き合う、ということがどういうことか、僕はよく分かっていなかった。なので、出た言葉が、「考えさせてください」だった。
「えええっ!!」
僕の返事がよほど意外だったのか、笹屋先輩は素っ頓狂な声を上げた。
まさか、断られるとは・・・、
などとぶつぶつと言っている。
口に手を当てて、一応聞こえないようにということなのだろうけど、
地声が大きいのでよく聞こえていた。
「まあいいわ!よく考えて返事を聞かせて頂戴!」
ビシッと指を僕の胸に突き立てるように指してきた。
これが、笹屋先輩との最初の思い出だった。
「ねえ、私と付き合わない?」
真っ黒なストレートヘアにちょっと勝ち気な表情が特徴的な女性(ひと)、笹屋先輩が僕に言った。
それまでそんな素振り一切なかったのに、あまりにも意外すぎて、身体が硬直する。
「そ・・・それって・・・」
「告白よ、こ、く、は、く!ね?どうなの?」
この時、僕は生まれて初めて女子からの告白というものを受けた。
ただ・・・
「か、考えさせてください」
僕らが高校生だったこの頃、僕の家は、親が不在にすることが多かった。父も母も仕事が忙しくて帰りが遅い。まだ小学校6年生の水際を余りひとりで家に置いておくわけにはいかない。それに、ただでさえ部活などで忙しいのに・・・付き合うって・・・。
そもそも、女の人と付き合う、ということがどういうことか、僕はよく分かっていなかった。なので、出た言葉が、「考えさせてください」だった。
「えええっ!!」
僕の返事がよほど意外だったのか、笹屋先輩は素っ頓狂な声を上げた。
まさか、断られるとは・・・、
などとぶつぶつと言っている。
口に手を当てて、一応聞こえないようにということなのだろうけど、
地声が大きいのでよく聞こえていた。
「まあいいわ!よく考えて返事を聞かせて頂戴!」
ビシッと指を僕の胸に突き立てるように指してきた。
これが、笹屋先輩との最初の思い出だった。

