この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
雨が好き
第65章 山茶花

【山茶花】
「こんな感じで、高校時代は結局付き合うことはなかったんです」
蒼人さんは、一通りお墓をきれいにすると、水桶を片付けた。
話を聞いている内に、私の中で笹屋栞さんのイメージが出来上がっていく。
しっかりとした意思の強い目
黒くて真っ直ぐなきれいな髪
細くてしなやかな腕や足
そして、深い思いをたたえた表情
卒業式のとき、すれ違いざまにキスをした、と言っていた。
その瞬間はちょっとだけドキン、としたけれど、前よりはずっとずっと落ち着いて栞さんのことを考えることが出来た。
多分、前は何もわからなかったから。
なんだか、とてつもない大きな存在に思えて、もっと、もっと、胸が苦しくなっていた。
でも、今は、栞さん、という女の人が、実際に生きていた人として、私の中で感じられていた。
「結局、僕は笹屋先輩と同じ大学に行くことになったんです。もちろん、学部は違いますけどね」
蒼人さんが次に栞さんと会ったのは、大学のキャンパスでだったそうだ。
入った大学が同じの、蒼人さんは『たまたま』と言っていたけど、やっぱり栞さんのことが関係あるんだろうな、と感じた。
「こんな感じで、高校時代は結局付き合うことはなかったんです」
蒼人さんは、一通りお墓をきれいにすると、水桶を片付けた。
話を聞いている内に、私の中で笹屋栞さんのイメージが出来上がっていく。
しっかりとした意思の強い目
黒くて真っ直ぐなきれいな髪
細くてしなやかな腕や足
そして、深い思いをたたえた表情
卒業式のとき、すれ違いざまにキスをした、と言っていた。
その瞬間はちょっとだけドキン、としたけれど、前よりはずっとずっと落ち着いて栞さんのことを考えることが出来た。
多分、前は何もわからなかったから。
なんだか、とてつもない大きな存在に思えて、もっと、もっと、胸が苦しくなっていた。
でも、今は、栞さん、という女の人が、実際に生きていた人として、私の中で感じられていた。
「結局、僕は笹屋先輩と同じ大学に行くことになったんです。もちろん、学部は違いますけどね」
蒼人さんが次に栞さんと会ったのは、大学のキャンパスでだったそうだ。
入った大学が同じの、蒼人さんは『たまたま』と言っていたけど、やっぱり栞さんのことが関係あるんだろうな、と感じた。

