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雨が好き
第80章 コーヒー
振り返って蒼人さんがにこっとした。
「ありがとう」

カップを取り上げて、鼻に近づける。
そして、ゆっくり一口。

カップを置いて、今度はミルクを入れる。
また、一口

もう少しミルクを足して、また一口飲んだ
なんとなく、私はお盆を抱えたまま、じっとその様子を見てしまっていた。

「うん、やっぱり、おいしい・・・」

もう一度、私の方を振り返る。
「みなとさんのコーヒーはおいしいよ・・・
 もっと勉強したらもっとおいしくなるとしたら、すごく、楽しみだ」

その言葉に私はきゅっとお盆を抱きしめる。

「でも・・・私の淹れるコーヒーは特に普通で・・・」

うーん・・・
蒼人さんが腕組みをする。

「僕はコーヒーのこと、そんなに詳しくないけれど、
 少なくとも、僕が自分で淹れるのより、全然おいしいんだけどなあ。
 それに・・・」

変なところで言葉を切る。
それに・・・?

またうーんと考えこんで・・・

「きれいだなって」

言われて、ボン、と顔が赤くなるのを感じる。
え?と・・・突然・・・!?
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