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雨が好き
第82章 ふたつの内緒
「これ、メニューの名前、どうする?」
すっかりコーヒーを飲み干したお父さんが私に聞いてきた。

え?名前?
モカジャバ・・・でいいのでは?

「ええ!つまんないよ!そんなの!!
 『みなと町スペシャル』とかさ、そういうのにしなよ」

みなと町スペシャル・・・
なにか、テレビ番組みたいだ・・・

ちらりと蒼人さんの方を見る

「前に東京に研修に行ったときに寄ったカフェで
 『紫小町』っていう名前のコーヒーを出していたことがあった。
 あれは小豆が入ってたから和風の名前だったんだよな・・・」
「じゃあ、『チョコレート伯爵』!?」

うーん・・・水際さんのネーミングセンス・・・。

「みなとが決めたらいい。みなとのメニューだから」

私が?
・・・

ふと、浮かんだ名前があった。
でも、でも・・・
ぶんぶん、と頭を振る。

「なになに?どうしたの?!みなとちゃん、なにか思いついたの?」
水際さんが鋭く突っ込んでくる。
思いついたけど、ちょっと恥ずかしいから・・・と言うが、言ってみなよ、と促されてしまう。

そしてついに言ってしまった。

「あ・・・えと・・・『蒼月』(そうげつ)・・・蒼人さんの『蒼』の字を使ってよければ・・・」
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