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雨が好き
第94章 眠れぬ夜
【眠れぬ夜】

『二人で頑張れませんか』

私は、ここ数日、蒼人さんの言葉を
何度も、何度も思い出していた。

仕事をしているときも
散歩をしているときも

そして、眠る前におふとんの中で思い出しては、
胸が温かくなって、
ぎゅっと、その言葉を抱きしめた。

でも、肝心な「頑張り方」は
やっぱりわからないまま、だった。

こんなこと、お父さんにも恵美子おばさんにも聞けない。
ましてや、水際さんにも
そしてもちろん、蒼人さんにも

実は、私は、
蒼人さんに、私の中の『悩みごと』の本当のところを、
うまく伝えられないでいるのだ。

薄いカーテンを透かして、
街灯の明かりが射してくる寝室

ころりと、また、寝返りを打った。

私は蒼人さんと、どうなりたいのだろう
考えてみる。

キスをして、
ぎゅっと抱きしめあって、

でも、恋人として、そして、もしも・・・もしも結婚・・・って考えたら、
どうしても、もう一歩、その先に進む必要がある。
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