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波の音が聞こえる場所で
第8章 取り調べと化した久須美の面接についての一部始終
 確かに冒険は僕の問題だ。だが、だがだ。まじで新潟から東京の大学に通う奴なんていない……はずだ。だって、それはもう遠くて遠くて、金はかかるわ、疲れるわ、だからそういう面倒を回避するために多くの人たちは上京するのだ。
「休学ってありですか?」
「なしです」
「なしなんですか……」
 八方塞がりとはこのことを言うのだろう。もう答えはない。もはやここまで。
「坂口君さ、もう少し考えようよ」
「何を?」
「まず東京までの移動手段」
「新幹線ですよね」
「アウト」
「アウト?」
「坂口君、新潟をカにしてない?」
「してません」
「新潟県人がみんな新幹線に乗って東京に行くと思ってんの?」
「思ってます」
「はぁ……最近の六大学は」
「……」
 また出た六大学というワード。うんざりを通り越して僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。僕は野球リーグでいう六大学の代表ではない。
「バス」
「はぁ?」
「高速バス」
「高速バス?」
「そう、新潟と東京を結ぶ高速バス」
「そんなのあるんですか?」
「あるんです。そして最安の価格が二千円代のときもある」
「二千円!」
「二千円じゃなくて二千円代ね」
「安いです」
「冒険できるじゃん」
「……」
 経済的な部分がクリアできたとしても物理的な部分がクリアできない。
「坂口君、栄光の背番号3が泣いてるよ」
「……」
 だから僕は野球なんてやったことないし、野球のことなんて一つもわからない。頼むから偉大な先輩を持ち出さないでくれ。
「坂口君、毎日東京に行こうと思ってる?」
「思ってます」
「坂口君、僕は毎日ここで働いてくれとは一言も言ってません」
「ということは?」
「リサイクルショップLighthouseは大学生に優しいお店なんです。そして入社するためには大学を卒業してもらわなければなりません」
「……」
 入社する気なんてしないし、今の時代大卒でなければならないとか……。
「坂口君、君のスケジュールに合わせると言っているんだ。ナイスな条件だろ?」
「ナイスです……でも」
「でもじゃない坂口!」
 いきなりの久須美の大きな声。ビビった。僕の体は少し浮いたかもしれない。
「君は冒険者なんだよね。冒険している人間がぐずぐずするな!冒険は一秒を争うんだ!わかったか!」
「わかりました」
 これは面接ではない。見事な取り調べ第一弾終了。


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