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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第1章 女中頭 幸乃(ゆきの) ~ 「西片向陽館」の秘密

 誠一は、床柱を背に両脚を投げ出し、幸乃が男根を根本まで咥(くわ)え込んだ時の滑(ぬめ)りの感触や、これまでに自慰では経験したことのなかった強く長い射精感を、うたた寝の浅い夢のように思い返していたが、しばらくして、良枝が、荷物を運んできた人足たちを案内してきたのを切っ掛けに、頭を激しく左右に振りながら立ち上がった。

 長く愛用してきた文机や本箱のほか、調度や蔵書が「座敷」と「次の間」に分けて置かれていった。良枝も、寝具、衣類の入った荷袋や行李から中を取り出して、手際よく押し入れに整頓していった。彼女が、ロイヤルブルーのビロードの笠が付いた卓上スタンドを文机の上に載せながら、 「こんなに綺麗な電燈は見たことがございません。」 と、はしゃぐ様子を見詰めながら、誠一は、まだ少女のようなその無邪気さを好ましく感じたのだった。
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