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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第1章 女中頭 幸乃(ゆきの) ~ 「西片向陽館」の秘密

荷入れが終わって引き上げる人足たちに、誠一が心付けを渡していると、派手な緋色の丹前を着た男が廊下から部屋を覗き込み、誠一に声を掛けた。
「ようおいでんさったの・・・。」
先住の下宿生と見受けた誠一が 「吉川です。今日引っ越して来ました。」 と応えると、男は 「わしはの、お隣さんの笠井じゃ。もう6年もここに居(お)るんよ。不躾じゃが、もしあんさんが良ければの、今日居(お)んさる者(もん)を集めるけぇ、わしの部屋で一緒に夕餉にせんかの。」 と、にこやかな表情で勧めた。
「それは有難いです。ちょうど皆さんにご挨拶して回ろうと思っていたところです。」 と誠一が応えると、笠井は 「酒も付けるかの。幸乃さんに言うとくけぇ、6時においでんんさい。」と言い置いて、部屋に戻っていった。
☆
「ようおいでんさったの・・・。」
先住の下宿生と見受けた誠一が 「吉川です。今日引っ越して来ました。」 と応えると、男は 「わしはの、お隣さんの笠井じゃ。もう6年もここに居(お)るんよ。不躾じゃが、もしあんさんが良ければの、今日居(お)んさる者(もん)を集めるけぇ、わしの部屋で一緒に夕餉にせんかの。」 と、にこやかな表情で勧めた。
「それは有難いです。ちょうど皆さんにご挨拶して回ろうと思っていたところです。」 と誠一が応えると、笠井は 「酒も付けるかの。幸乃さんに言うとくけぇ、6時においでんんさい。」と言い置いて、部屋に戻っていった。
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